薬_オキシコドン
写真出典 http://haklak.com/

こんにちは、Anejo(アネホ)です。

オキシコドン – 健康な方には全く縁の無い薬ですが、ご存じの方はいますか?

私も 2016年 6月 18日の『トヨタ役員、麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑のため逮捕!』という記事を見るまで知らなかったです。

そして、ケーブルテレビの『ディスカバリーチャンネル』で放送している人気番組、『ゴールドラッシュ ~人生最後の一攫千金~』の記事を書くまで忘れてました。

ここでチョット好奇心が湧いたので調べたら、意外なことを知ったので紹介させていただきます。


オキシコドン – オピオイド系の鎮痛剤

聞きなれない『オピオイド系』という言葉ですが、どんなものでしょうか?

オピオイド (Opioid) とは、ケシから採取されるアルカロイドや、そこから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物を指し、鎮痛、陶酔作用があり、また薬剤の高用量の摂取では昏睡、呼吸抑制を引き起こす。

このようなアルカロイド(オピエート)やその半合成化合物には、モルヒネ、ヘロイン、コデイン、オキシコドンなどが含まれ、また合成オピオイドにはフェンタニル、メサドン、ペチジンなどがある。

これらは本来的な意味で麻薬(narcotic)である。

オピオイドとは「オピウム(アヘン)類縁物質」という意味であり、これらが結合するオピオイド受容体に結合する物質(元来、生体内にもある)として命名された。

内因性のオピオイドにはエンドルフィン、エンケファリンなどがある。

オピオイド薬の使用には、オピオイド依存症や、離脱症状、また過剰摂取による死亡の危険性がある。

アメリカでは、薬物中毒死の43%までも、オピオイド医薬品の過剰摂取で占めており、2014年にもアメリカ神経学会は頭痛、腰痛、線維筋痛症などの慢性疼痛状態では、オピオイドの使用は危険性の方がはるかに上回るという声明を行っている。

2017年には公衆衛生上の非常事態が宣言された。

引用 Wikipedia


麻薬か?鎮痛剤か?

薬_オキシコドン_002
写真出典 https://sustainablejapan.jp/

そもそも、『トヨタ役員逮捕事件』が起こった時、

「米国から招いた常務役員が麻薬所持!?」

みたいな感じで、日本中、大騒ぎになったと思いますが、これが『麻薬』でなく『鎮痛剤』だったとしたら、世間の感じ方は全然違ったでしょうね。

で、この『オキシコドン』ですが、マジメな話で『鎮痛剤』です。

ただし、たとえばロキソニンなど普通の痛みに対応するような物ではなく、メチャクチャ痛いときに使うヤツですね。

専門的に言うと、

『WHO方式がん性疼痛治療法用で 3段階有るうちの、第 3段階目で用いられる強オピオイド』

だそうで、いわば鎮痛剤の最終兵器といった所でしょうか。

戦争映画なんかでよく、鎮痛剤といえば『モルヒネ』という薬も耳にしますが、これとて『麻薬』でしたよね?

要は『使い方』が、快楽を目的にするのか?鎮痛を目的にするのか?の違いなんですね。


トヨタ役員逮捕事件は何がヤバかったのか?

この事件の渦中にあったジュリー・ハンプ常務役員(55)は何が悪かったのでしょう?

彼女は 6月 18日、麻薬取締法違反の容疑のため、滞在していた都内のホテルで逮捕されましたが、中身が『ネックレス』と記載されていた米国からの国際宅配便の小包に、麻薬成分の『オキシコドン』の錠剤 57錠が『隠すように』入っており、密輸の疑いが持たれたのが原因でした。

まず「変だな」と思うのが、国際宅急便の小包にオキシコドンが入ってるのが、「ナゼ判ったんだろ?」って事ですね。

たまたま、税関で扱ってる担当者が「怪しい」と思って中身を開けてみて『オキシコドン』が入ってるのを見つけたんでしょうか?運が悪かった、って事ですかね?

でも、この小包、発送元がミシガン州、そしてケンタッキー州を経由して成田空港に着いたのであって、麻薬の匂いのプンプンする中南米から発送じゃ無いんですよね。

なのに毎日何千何万も届く小包の中から、検査官が「おかしい」と気付くなんて、何か陰謀めいたものの存在を感じませんか?笑


メディアは面白がって報道してた

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写真出典 http://newsmemorandum.seesaa.net/

なんせ、天下のトヨタの常務役員、しかも米国から来た人の事件ですから、メディアも面白がって飛びつきました。

左の画像で『モルヒネの 1.5倍』だなんて書いてますが、これは鎮痛作用が経口投与の場合、『モルヒネの 1.5倍』なわけで、快楽を感じる度合いとか依存症の危険性についての数字じゃ無いんですよね。

依存症の度合いに関して言えば、モルヒネより危険性は低いらしいし、そもそも番組では『麻薬』扱いであって、『鎮痛剤』扱いではなかった所が残念過ぎ。

そして、『隠すように』と言われてますが、大切なお薬のビンを、扱いの手荒な国際宅急便で運んでる最中、壊されたら困るから、という理由で丁寧に包装したんじゃないか?とは言えないんでしょうか?

この辺が、メディアの勝手な想像でミスリードしてる雰囲気アリアリなんですよね。

さて、ハンプ容疑者は「麻薬を輸入したとは思っていない」と容疑を否認してましたが結局、7月 1日、トヨタ自動車はハンプ容疑者の辞任を発表しました。

本人は「膝の痛みを和らげるために輸入した」と説明しているのにね。

なんかね、検察側が「麻薬は麻薬だろーっ!」みたいにいきり立ってる様子が窺い知れる展開でしたね。

結局、米国大使館からの働きかけもあって東京地検は不起訴処分(起訴猶予)となり、元常務役員は即日釈放され、帰国したそうです。

この騒動で多くの人は、

「ガイジン(特に米国人)だったから麻薬所持の罪さえも許されたのか!?」

みたいな、後味悪い印象を感じたんじゃないでしょうか?

日本の検察当局側も偉そうに、

「アメリカでは違法薬物使用に関する罪が軽い事と、逮捕後の 6月 30日に役員を辞任し社会的制裁を受けている旨を考慮し、不起訴処分とした」

と言ってますが、米国では罪が軽いって、本気で言ってるのかよ?って思いません?

しかもトヨタ辞めた程度で社会的制裁だなんて笑っちゃいますね。

ホンネを言えば、鎮痛剤、緩和ケアについての扱いが日米両国の間でエラく違うことにビックリして、でも逮捕しちゃったし、引っ込みつかなくなっての苦しい言い逃れって感じアリアリです。笑


人気番組『ゴールドラッシュ ~人生最後の一攫千金~』のクルーの件

せっかく『グローリーホール』と呼ばれる、金がザクザク有る場所を掘るプロジェクトに参加する機会を得た ウェイン “ナゲットブレイン” ピーターソン でしたが、この『オキシコドン』の常用を問題視され、プロジェクト途中で解雇されてしまいました。

【ゴールドラッシュ ~人生最後の一攫千金~ シーズン 3 を見る】


オピオイド系薬物使用の注意点

オピオイド系の鎮痛薬は劇的な鎮痛効果をもたらしますが、確かに『麻薬』でもあるので、

◆ オピオイド依存症
◆ 離脱症状
◆ 過剰摂取による死

といった『負の側面』も有ります。

なので、重機を扱う仕事には、安全面で向いてないと判断されたのかもしれませんね。


米国でも処方箋が要る!

これについては、日米の違いはありません。

人気ドラマの登場人物にしても、トヨタの常務役員にしても、オピオイド系の医療用麻薬は、処方箋無しでは、米国でも『麻薬所持』扱いとなり、『不法所持』となってしまいます。

なので、少なくともトヨタの常務役員の場合、もし処方箋が無かったとしたら、釈放されて日本から米国に帰国出来たとしても、米国で『有罪』となってしまいます。

でも、彼女が米国に帰国した後、有罪になったという話が見つからないんです。

つまり『合法的に所持』してたらしいんです。

これがもし『快楽目的』に米国から発送されたとしたら、発送した父親も米国内で『有罪』になってしまい、米国と日本をまたいだ『麻薬』の密輸事件として扱われ、米国側が穏便に済まそうとはしないハズです。


日本の適用範囲と米国の適用範囲

色々しらべてみても、何だか明確な答えが見つからないのですが、どうやら日本では、オピオイド系鎮痛薬を処方するのが許されてるのは『がん患者のみ』らしいんですね。

対して米国の場合は、そういう適用範囲について『制限が無い』という両極端な話。

でも、どっちが正しいんでしょうかね?

痛みの激しさって、病状や怪我の状態も影響あるし、痛みに対する感受性も個人差がそうとう有ります。

なのに、『がん患者のみ』っていうのはおかしいと思いませんか?


薬物処方の管理

さて、日米の違いは更にあります。

◆ 日本の場合
処方する医師は都道府県単位で登録しておかなけれはならず、使用量を逐一記録・管理することが義務付けられているので、一般的なクリニックでは処方されることは無いですし、誰もが簡単に入手できる薬では無いワケです。

◆ 米国の場合
処方する医師は、特に登録する必要もなく、使用量の記録・管理も義務付けられてないので、一般的なクリニックでも簡単に処方してくれるし、誰でも簡単に入手出来るワケです。


米国ではどんな問題が起きてるか

さて、日本では極端に制限されてる感のあるオピオイド系鎮痛薬ですが、米国ではある意味『誰でも使える感』が有って、これもまた危険過ぎます。

なんせ、オピオイド系鎮痛薬は、使用法を誤ると極めて危険な薬で、たった 1回でも大量投与をすると重篤な呼吸抑制を引き起こしたり、場合によっては死に至る危険性もあるそうです。


医師に処方されたものでも死者が増加中

2015年には、医師に処方されたオピオイド系鎮痛薬の過剰摂取による死亡者は、年間で 1万 2727人にものぼっており、1999年からだと 4倍にも増加しています。

https://www.cdc.gov/drugoverdose/data/overdose.html

なんで医師に処方されたのに、死亡事故まで起きてしまっているんでしょうね?


管理が徹底されてない

つまり、処方された後、しっかり管理されてないのが問題なんですね。

鎮痛薬ですから、痛みが納まってしまえば不要になります。

でも、せっかく処方されたし、『凄く効くクスリ』なので取っておく人も多いでしょう。

そこには、『麻薬』とか『劇薬』という意識は無さそうですね。

実際、2008年 ~ 2009年のデータですが、乱用者の半数以上が友人や隣人からタダでもらったらしいです。

米国人はこの類の薬に関して、もっと「危険だ」という意識改革をすべきじゃないでしょうかね?

https://www.cdc.gov/drugoverdose/data/prescribing.html


オピオイド系鎮痛薬は両刃の剣

オピオイド系鎮痛薬は、医療目的のための『短期的な使用』では依存症を引き起こさないそうです。

逆に言うと、『長期的な使用』には充分注意する必要が有る、という事ですね。

何が言いたいか?と言うと、治療が長引くと、それに伴ってオピオイド系鎮痛薬も長期間使うことになり、『結果的に依存症のリスクも高まってくる』という事です。

乱用した場合は言うに及ばず、長期的な使用でも身体的・精神的な依存を引き起こす可能性が有るという事は、『両刃の剣』と言って良さそうですね。

なお、NIDAによると、現在、がんや様々な疾病による慢性疼痛のため、約 1億人の米国人が苦しんでおり、更に高齢者や軍の負傷者が増加しているので、慢性疼痛の適切な管理方法の確立は、米国にとって非常に優先度の高い問題じゃないでしょうか?

https://www.drugabuse.gov/publications/research-reports/misuse-prescription-drugs/which-classes-prescription-drugs-are-commonly-misused


オピオイド系鎮痛薬にも色んな種類がある

なお、ひとくちに「オピオイド」と言っても、ケシから取れる自然由来のものや、そこから合成された半合成化合物、そして完全な合成化合物があって、それぞれに特性があるようですね。

鎮痛効果の強さや持続時間、他の薬と同時に使っていいかどうか、また例えば喘息の発作が出てるか出てないか?などに応じて使い分けられるようになってます。

そして現在、米国で『非常事態』となっているのが、ヘロインと、合成オピオイド系(フェンタニル、トラマドールなど)での死者が爆発的に急増している事なんです。

オキシコドンなど半合成オピオイド系に関しては、増加傾向ではあるものの、急増とまでは行ってない。

https://www.cdc.gov/drugoverdose/data/analysis.html

何が言いたいか?というと、処方箋無し(違法)で入手した『麻薬』の乱用で死者数が急増してる事実が、処方箋有り(合法)でなおかつ適切な用法を守って『鎮痛薬』を使ってる人達の『希望』を脅かしてないか?という事です。


オキシコドンの使用量

さて、色々述べてきましたが、米国には、世界保健機関(WHO)の協力センターである、ウィスコンシン大学の痛みと政策研究グループ PPSG(Pain Policy Study Group)という研究施設があります。

そこでは、バランスのとれたオピオイド鎮痛薬へのアクセスを実現することで、がんやその他の痛みを伴う病気に苦しむ世界中の人々の生活の質を向上させるための研究がされています。

その PPSGは世界のオピオイド鎮痛薬の消費量を調査していますが、2015年の 1人当たりの 1年間のオキシコドン平均消費量(mg)は、世界 85カ国のうち、日本は 30位です。

世界平均は 11.4mgですが、日本の平均は 6.1mgで、他の先進国と比較すると非常に少ない消費量です。

そして米国が 194.4mgと、圧倒的に多いこともわかりますね。

もちろん、国民 1人あたりの疼痛に悩む人の割合も、各国で違うでしょうが。
(米国は戦争による傷病兵という問題も抱えてるので、日本の比ではない)

1 USA – 194.4109

2 Australia – 104.6081
3 Canada – 97.3845
4 Sweden – 57.5378
5 Norway – 56.5358
6 Denmark – 52.7550
7 Israel – 48.1575
8 Finland – 40.7807
9 Germany – 39.5828
10 Switzerland – 36.9826
11 Netherlands – 36.8718
12 Cyprus – 33.5983
13 Ireland – 32.2645
14 Iceland – 29.5532
15 Italy – 23.1858
16 Gibraltar – 22.5625
17 France – 22.3535
18 Belgium – 22.0877
19 United Kingdom – 19.9277
20 Spain – 17.0294
21 New Zealand – 14.9797
22 Andorra – 13.8571
23 South Korea – 12.9485
24 Czech Republic – 12.4916
25 Slovenia – 11.1770
26 Austria – 10.1002
27 Slovakia – 7.6060
28 Estonia – 6.5392
29 New Caledonia – 6.4753

30 Japan – 6.1464

31 Poland – 4.9283
32 Bulgaria – 3.5386
33 Mongolia – 3.0635
34 Palau – 2.6667
35 Colombia – 2.1357
36 Croatia – 2.1101

http://www.painpolicy.wisc.edu/sites/www.painpolicy.wisc.edu/files/global_oxycodone.pdf

このデータが物語る事は、日本は欧米の先進国に比べて医療用麻薬の使用が極端に少なく、逆に言うと、『日本は疼痛管理の面で法的にも医療制度としても非常に遅れていると言えるのです。

「痛い?我慢しろ!」

みたいな根性論が、日本人は好きですからね。笑

でも、

「日本の常識、世界の非常識」

という言葉がありますからね。

日本人は精神的に鎖国状態なんですよね。。。


まとめ

私は医療従事者ではありません。

ただ、米国の公的機関の情報を見て、日本の医療の現状について問題提起してるだけです。

その上で『まとめ』させていただきます。

◆ 疼痛という問題に対して『積極的』に取り組んでる米国と、『消極的』な日本。
◆ 消極的の意味することは、患者に痛みを『我慢することを強いる』事。
◆ 積極的の意味することは、患者が『たやすく鎮痛薬を入手出来る』という事。
◆ ただし、激痛に効果のある鎮痛薬は、実は『麻薬』だった。
◆ だからこそ、正しい用法を守れるような『管理体制』が大切。
◆ 患者も、『非常に危険な薬物』という認識を持ち、安易に他人にあげたりしない。
◆ 日本では『がん患者のみ適用』、米国では『がん患者、その他激痛に適用』。
◆ 日本の法的な『問題点』を無くさないと、医療先進国とは言えないのでは?
◆ そのためには、日本人の『疼痛対策』に対する意識改革も必要では?

ってところですかね。

この記事では、そもそも「オキシコドンって、何だ?」という素朴な疑問からスタートし、それが過去にあった『トヨタ役員逮捕事件』につながり、そう言えば「何で釈放されたんだ?」という素朴な疑問が更に生まれ、日本の検察側の説明が全然納得できず、調べていくうちに、日米間での『麻薬』『鎮痛薬』に対する環境の違いに驚き、日本の抱えてる問題、米国の抱えてる問題を照らし合わせて、理想的な『解答』を模索しようという試みになりました。

ま、言うだけは簡単、実現させるのは難しいんでしょうけど~。

さて、最後まで読んでくださったみなさん、ありがとうございます~!

もしよろしかったらコメントもお寄せください、今後の記事執筆に活かしていきたいと思います!


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